今回は内側の話です。
ご依頼をうけて、内容確認、収録、納品、ご検収OKのちに料金精算をしてひとつの案件が終わります。
通常、いわゆる外注という立場で仕事をすると、ナレーターは「読んだら終わり」がほとんどです。無責任という意味ではなく、「読む」工程を担当するのが仕事なので、それで終わる、そりゃそうでしょ、という感じです。
Web納品の仕事であれば、音声データを送れば終わり。
しかし、これは個人差があるとは思いますが、収録後(または納品後)に
「あの仕事、どうなったかなー」
「どういう仕上がりになったんだろう?」
「修正の録り直しがくることはあるんだろうか?」
と思いをはせるのは、ナレーターあるあるなのではないかと思います。
完全フリーランスで直接依頼を受けている場合は、発注者側から「あの仕事、無事に完成しました」と教えてもらえることもあるかもしれません。また、ご検収OKをいただいた時点で(よかった、修正再録はないんだな)とわかります。
一歩踏み込み型のナレーターは、事後を知りたいですと自分から申し出たりしています。
一方、事務所や受注代理店を経由している場合は、ほぼ「読んだら終わり」です。
クライアントさんから「今回は本当にありがとうございました。思った以上のものが作れました!」とホットなお礼を頂戴しても、それがナレーターまで伝達されることはまずありません。言い方は悪いですが、仲介者がちょっぴり嬉しい気持ちになってそれで終わりです。
全方向コミュニケーションを大事にしている仲介者(事務所マネージャーや受注代理店)だと、もしかしたら事後も制作担当に食らいついて、完成状況を調べ、嬉しい声をいただいた場合はプレイヤーにも伝えてくれているかもしれません。ただ、それは普段プレイヤー側からコミュニケーションをとっていないと、ただの受け身の人に手取り足取り世話する連絡なんてしないのではないかと思います。
わたしは個人として、宅録業者とも長らく取引をさせていただいてきていますが、いずれも検収完了になったかはわからずじまいです。かといっていちいち質問もできません。
(すごいところでは検収以前に、発注依頼のメール1通以外、各種返信は一切なし、録音データを送っても受け取り連絡も何もないところもあります。これはその会社さんの自由だからいいのですが、行き違いでミスが起こらないよう祈りながらこなすことになります。)
このようないろいろな立場での経験をふまえて、オフィスあるこナレーション音声制作では、提携ナレーターへの校了連絡を「工程のひとつ」に加えています。
(ここでいう校了とは、制作物の完成ではなく、お客様の検収が完了した段階です。)
「クライアントさんからチェックOKが出ましたので校了連絡です」
シンプルなメールで、長々と制作物について語るわけではありませんが、この一報があるかないかは地味に大事だと思っています。制作の一員として。
そして、お客様から嬉しい言葉を頂戴したときには必ず、それも転記して伝えます。
ほんの1~2行の言葉であっても、(役に立ててよかった!)と実感できるものは宝物なので。
自分の場合、ナレーション収録のあとは実は不安です。
自信満々の人もいると思います。不安なものでお金をもらうのか、という考え方もあります。
しかし、いいか悪いかを判断するのは「相手」です。だからそこで「いい!」と喜んでいただけるのは本当に嬉しいのです。
反応の声を本人が知ることは大事なこと。つくづく思います。
事実、担当したナレーターからも「いつもわからないまま仕事をしているけれど、お役に立てたことがわかって嬉しい!」と返ってきたこともあります。(校了メールは返信無用としているんですが…)
フィードバックから栄養を得て、(いいものをつくっていこう)という土台が強化される。
心を込めた仕事って、その場の一所懸命ではなくて、こういう支えから育ってゆくんじゃないかと思うのです。
宝物は、ちゃんと、本人に渡す。共にいい成長をしていくためにも。
なんだか壮大な話になりました(汗)
そしてすごく「うちはすごい」アピールをしている気もします。お恥ずかしい。
でも。
ほんとうの話です。
※こんなところでアレですが、納品後に嬉しいご感想をくださった方々、ありがとうございました。担当ナレーター&運営(わたし)ともに、大きな励みとして共有しています。
あ。お褒めくださいと強要しているわけではありません。必要事項のやりとりができればそれが標準ですので…!
[オフィスあるこナレーション音声制作] 運営兼ナレーター 木場本和枝